夫婦間の贈与は取り消すことができるの?

民法には、夫婦間で贈与があった場合、後からそれを取り消すことができると規定しています。

夫婦間の贈与は取り消すことができるの?

では、こういった場合はどうでしょうか?まだ離婚が成立していない段階で、夫が愛人宅に住むようになり、夫名義の自宅を譲り渡すことを理由に離婚を迫られ、妻はこれを受諾しました。

しかし、離婚成立後になってから、夫が離婚前の贈与であったため、夫婦間の贈与は無効だと主張をしてきたのです。一見すると、夫の主張のどおり離婚前の贈与であったため、夫婦間の贈与は無効であるという法律が適用されるようにも見えます。

では、本当にこの主張は認められるのでしょうか?

財産分与と贈与はまったくの別物

上記のような場合、確かに夫の主張どおり、不動産の譲り渡しは夫婦間の贈与のようにも見えますが、実質的には離婚を条件としているため、財産分与と考えるのが妥当です。

さらに、夫婦間の贈与が無効になるという規定は、あくまでも円満な夫婦に対してのみ適用される法律です。今回のように、すでに夫婦関係が破たんしている状況下であった場合は、贈与が無効になるという法律が適用されることはありません。

よって、譲り受けた自宅を返さなければならない理由にはならないということです。財産分与と贈与はまったくの別物であるのだと覚えておくようにしましょう。

財産分与とは別に慰謝料請求も可能

冒頭のような状況下である場合、財産分与とは別に慰謝料請求をすることも可能と言えます。

夫の不貞が原因となった離婚であるため、その不貞行為に対する精神的苦痛は、当然ながら慰謝料としての請求も可能と言うことです。慰謝料は離婚成立から3年までは請求可能です。

ただし、不動産のように高額となる財産分与をすでに受けている場合、その財産分与に慰謝料も含まれていると考えられてしまうこともあり、現実に裁判上も、夫側の資産状況次第では、財産分与に慰謝料が含まれているとの判断をされてしまう可能性が非常に強いです。

ただ、不動産の財産分与を受けた上でも、夫の資産の半分にも満たないといった状況であれば、後から追加で慰謝料請求も可能と言えるでしょう。

財産分与や慰謝料を相手が認めない場合は

上記のことから、夫婦間の贈与の取り消しは無効となりますし、資産状況次第ではさらなる慰謝料請求も可能となっています。

とはいえ、後から贈与の取り消しを主張してくるような相手に、こういった説明をいくらしても、納得してはくれないことのほうが多いでしょう。

このような状況に巻き込まれてしまった場合は、弁護士に相談をすることをおすすめします。いくら自身が法的に正しい主張をしていたとしても、相手からすれば納得できるものではありません。

しかし、法律のプロである弁護士が主張しているとなれば、納得せざるを得ないと言えるでしょう。

また、弁護士であれば、納得しない相手に対して、調停や裁判といった法的手段での解決も容易となっています。

カテゴリー:財産分与

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